保山耕一さん 第4回「時の雫」上映会
保山さん月一(つきいち)上映会が10月5日(土)奈良公園バスターミナルでありました。今回のテーマは「奈良公園」。ならどっとFM「岡本彰夫の奈良、奥の奥」公開ラジオ収録!に、奈良公園から衛星回線を繋いでの中継!保山さん、毎回毎回趣向を凝らしてパワーアップ。お客様は今回もまた保山さんの映像、トークと企画に魅せられていました。
まずは「今日も夢みたいです。皆さんにお会いできるのをすごく楽しみにしていました。皆さんのお顔が見られて心から嬉しいです」と。そして、「30年以上前からテレビ番組をやっていました。『○○○ぷいぷい』は立ち上げからやっていて、昔は2~3か月に一回特番というのがあって、今日はそんな風に「特番!」みたいにスピード感持ってパッパッパッとやりたいです(笑)今日も皆さんのお陰で、皆さんのお気持ちをいただいて、奈良の魅力を発信していきます」と始まりました。
オープニングは、すみかおりさんオリジナル曲の生演奏『時を超え』にのせて
― 真っ赤に咲き誇る彼岸花の映像 ―
そして、次にご紹介された話は・・・
「以前、国際がんセンターでがん患者の方々の前で、グランドピアノの生演奏で上映したものです。東京の日本一大きなガンセンターで月一回のロビーコンサート。ロビーにベッド20台ほど運んできて、点滴治療してはって、末期患者の方もいらして・・・みんなで集まって生のグランドピアノの音で・・・もう涙止まらなくなりました」
「録音した音楽もいいんですけど、心の奥にまで届くのが生の魅力なんです。ものすごく影響があります。そして、泣いた後にまた前を向く。希望に満ちた曲でお届けします」
―映像『希望の夜明け』―
(野上朝生さんオリジナル曲のキーボード生演奏と木塲孝志さんの二胡の音色。お客様は保山さんの映像とのコラボに魅了されてうっとり!)
そして、保山さんより今回配布のちらしをご紹介。ここではいつも耳寄りな情報があります。12月7日の上映会は、保山さんいわく「ありったけの予算をすべて投入し、吉野山桜まつりをやります。僕の夢はここを桜吹雪でいっぱいにする!そのためにダイソンのコードレス掃除機、買おうかなぁって思てます(笑)」「金峯山寺、全面協力で岡本彰夫先生と五條良知管長の特別対談。映像を使って、疑似『護摩焚き』も。お楽しみに!!」
また来月の11月2日上映会は「大和の月」(サプライズでスペシャルゲストもいらっしゃるようですよ~!)
さぁ、そして、ならどっとFM『岡本彰夫の奈良、奥の奥』。始まりは、講談師四代目玉田玉秀斎(たまだぎょくしゅうさい)さんのタイトルコールでムードは一気に高まり、ラジオの世界に誘われます。
と、ここで、手向山八幡宮からの中継、シンガーソングライターの大垣知哉さん。今回は玉田玉秀斎さんのお弟子玉山(ぎょくざん)さんが奈良公園から鹿せんべいの正しい与え方を衛星中継!保山さんいわく「こんな近くで生中継、『○○○ぷいぷい』ではできないでしょ」と(笑)
そして、岡本先生「外国人が鹿を抱えようとすると事故をする。鹿を人間の世界に引きづり入れたらあきません。これが難儀なことですわ」と。
そして岡本先生は南都八景を一つずつご解説下さり、興福寺三宝や木魅塚(きみづか)など、あまり知られていない深~いお話もして下さいました。また、春日大社一之鳥居の榊が左側にだけあるのはなぜか?というお話などがありました。
少しご紹介しますと…『大和名所図会』(=江戸時代の奈良の風景がこれでよくわかるとのこと)に書かれている春日大社一之鳥居のこと。
「春日大社一之鳥居には左側にしか榊が立てられていない。これは江戸時代の節用集(せつようしゅう、=百科事典みたいなもの)を見ても必ず左側だけです。(祭りの時だけは両方に立ててある) これはなぜかを随分、理由を探したんですが出てこない。」
「『時廉(トキカズ)卿記』という春日大社神主さんの大中巨時廉という人の書いた懐中本に唯一理由が書いてありました」(何々…??と会場はシーンと静まり返っています)
「それは興福寺には興福寺の三種の神器みたいな『興福寺三宝』というのがあります。その一つが『面向不背の玉』といいまして、これだけが早くになくなった。これは、水晶の玉の中に釈迦三尊像が入っていまして、どこから見ても正面に見える。
ところが、これが春日さんの一之御殿の下にそれが入っとると言うんですな。そこで善女(ぜんにょ)龍王様がその玉を欲しいと毎日猿沢池からお出になって、一之鳥居に横たわりはるというんです。蛇体を鳥居の一番上の笠木(かさぎ)に横たわらせはるんです。そうすると蛇体の頭が北に向くから御身が南に向くんですわ。そうすると南に榊を立てたら腹をつくさかいに申し訳ないから榊をはずしたっていう伝承がございまして」(会場内は、へぇ~!と感心と驚きの声) 「それで、私が辞めます前に、今の花山院宮司と相談しまして、このしきたりを残しましょうということになりました。」
保山さんは感心しながら「これ、岡本先生が昔の本を読んで起こされた話なんですか?」と質問されると「そら何年かかったかわからしません。こんなん見たら誰でも妙やなと思わないかんけど、だ~れも質問しはらへん(笑)」保山さん「片っ端から資料を読んだってことでしょ?」「どこにあるかわからしませんから、膨大な資料を調べてみたら、たまたま出てきたけど3~4年かかりましたわ」(と、なんともすごい話‼)
「どこかで言うとかんとね。」と岡本先生のとっても貴重なお話を生で聞かせていただきました。司会者の中川直子さんも「これは皆さん、ぜひ広めて下さい」とおっしゃっていました。
(詳しくは同番組、11月4日(月)15時~16時、再放送11月8日(金)20時~21時をお聴き下さい)
そして、玉田玉秀斎さんの今回、初公開の講談は『奈良の鹿物語』。兄弟鹿、シン兄ちゃんこと「シン」とチビロクこと「ロク」の成長物語in奈良。
岡本先生は「現代は神仏を畏れないようになってきている。かろうじで奈良はまだ残っているから大切に!」と言われて、以前、テレビ『素晴らしい宇宙船、地球号』で奈良公園のフンコロガシを取材に来たテレビ局の人の話をされました。「高畑でランドセルの小学生と向こうから来る巨大な野生の鹿。どちらも振り返らずにすれ違うところがすごい‼」と奈良を絶賛されたそうです。「世界に誇れる奈良」と岡本先生はおっしゃっていました。
そして、保山さんは次回・秋の公開録画は11月23日(土・祝)国営飛鳥歴史公園・四神の館とご紹介されました。国営飛鳥歴史公園HPよりお申込みいただいた何人かには保山さん撮影の飛鳥のDVDを無料でプレゼントして下さるとか・・(詳しくはHPをご覧ください)
その後、奈良公園バスターミナル竹田室長のまほろばワンポイント講座は「奈良公園と春日山原始林」でした。神秘の森の原始的な生き物との共生、ナギ・ナンキンハゼのナラ枯れの被害、行政・地域・NPOでの植生の保護策など、100年・200年・1000年と続いてほしいとのお話がありました。
岡本先生からは「今、ボコボコにやられてますやん。改善を(笑)」と言われ、「まぁ気をつけや。バスもよろしくな!(笑)」と励まされていました。
と、ここで当会鉄田専務理事のご出演!岡本先生とは10何年前から親しくされていて、当会第2回総会でご講演をしていただいたとか。春日山で首つりがあったら神様が嫌いはるという『春日山の天狗風』のお話や春日山の木々が一気に大量に枯れ始める現象(日本に悪いことがあると必ずこれが起こると言われ、たいへん畏れられた)が起こった時、神事を行うと必ず木が元に戻るという『山木枯稿(さんぼくここう)』のお話がありました。(会場のお客様は、へぇ~!ほぉ~!と驚かれていました)
すると今度は会場が一気に薄暗くなり、ならどっとFMの中川直子局長の絵本朗読。実は中川局長、35年も前から体のご不自由な方の朗読の指導をされているそうで『しろちゃん』は30年も前の悲しい実話です。保山さんは「よくニュースでレジ袋を食べて鹿が死んだことをインバウンドの外国人の観光客が増えたせいにしていますが、実は30年以上も前から、こういうことはあったんだということを語り継ぐためにもこの本を選びました」と。(そして木塲さんの二胡演奏が流れる中、会場内は『しろちゃん』の世界にグングン引き込まれていきました。)
さあ、そして岡本先生より今月のまとめのお言葉は・・・「『灯台もと暗し』ですな。奈良公園ってこんなに奈良時代からの縮図がある‼ ところが案外振り返る機会がない。奈良公園は春日山から春日野、奈良の町に至るまでの広大で1200年の歴史が凝縮した場所。もう一度1200年の歴史ある奈良公園、足元を振り返ってみなあきまへんな」と。
ラジオ収録後はお神輿担ぎから戻って来られた大垣知哉さん、奈良公園から玉山さんも帰ってきて、出演者全員で保山さんの映像を見ながら、会場の皆さんも一緒に「ふるさと」を大合唱!!!
― 休憩タイム ―
(会場の外では、現在ベストセラーになっている『奈良百寺巡礼』(今回は鉄田さんの落款とサインが超レア物)、鹿の絵本『しろちゃん』、次回上映会のチケット、カンパの保山さん映像DVD、木塲さんのCD等が販売され、どこも大賑わい!)
さぁ!後半は当会・豊田敏雄理事長のご登壇から始まります。
「奈良まほろばソムリエの会とはどんな会ですか?」と司会者に聞かれた豊田理事長。当会のここまでの歩みと「毎年だいたい40人ずつ増えて、現在420人弱くらいで、奈良をよく知っていただき、歴史に親しんでいただこうという活動をしています。」とご説明。また「この上映会が、保山さんファンとソムリエの会のファンでいっぱいになりますように」とおっしゃっていました。
― 奈良百寺巡礼 <正暦寺 > 映像 ―
そして、正暦寺・大原弘信ご住職と鉄田憲男専務理事のご登壇。
大原ご住職は、孔雀明王のお話をされ「いい仏像は大小関わらず、近づくといいものがありますね~」と。「山にいると自然の摂理を教えてもらいます。難しいお経よりも山に教えてもらう、自然が教えてくれるということもあります。花も人間も弱っていくということは、終わっていくということ。そして、それは次のことが始まるということ」と…。「枯れた花にも美がある」山にいると自然の摂理を教えてもらうとご住職。植物のお手入れ、木の剪定をご自分でされる大原ご住職のことを素晴らしいと尊敬されていた保山さんの言葉が浮かびます。
そして、司会の中川さんから「正暦寺と言えば、お酒!」とお酒の話が出ると、すかさず鉄田さんが「正暦寺といえば、ポイントは二つ‼、『錦の里』と『清酒発祥の地』です」と。
「正暦寺独自で作るお酒の母と書いて酒母(しゅぼ←これはお酒を造るアルコール発酵の元)というものがあり、こちらで造るのは『菩提元』(ぼだいもと)。これは、室町時代にここで初めて造られたと文献に出てくる独特なもの。」だそうです。「毎月1月上旬に酒母の仕込みが行われます」ということで、「来年は1月11日(土)。12日の奈良検定の前の日です。(笑)」と。
そして、鉄田さんが大原ご住職とお話をされる中で、すごく興味を持たれたというのが「正暦寺は、流れる川あるいは湧き水に特長があるんです。匂いはカルピスみたい」と。
「自然の乳酸菌がそこにあるんです。酒造りで大事なのが、麹菌、酵母菌、乳酸菌と言われます。あとは皆さんの努力です。」と教えて下さいました。
正暦寺は、11月3日~12月1日に白鳳仏の秘仏公開があり、本堂を開けて拝観できます。紅葉の景色が美しい時ほどお寺のお忘れ物が多いようで、「忘れ物の多さでその年の紅葉の美しさがわかるんですよ」とご住職。「11月20日から月末がきれいです」とのことで、正暦寺のお酒も販売されます。鉄田さんは全種類飲まれたことがあるとか(さすが‼)
ということで、今回の様子は、ならドットFM『岡本彰夫の奈良、奥の奥』11月4日(第1月曜日)3時~4時、再放送は11月8日(金)20時~21時に放送されます。ぜひお聴き逃しなく!です。
次回11月2日(土)は「大和の月」。奈良百時巡礼は般若寺で、当会理事の石田一雄さんのご登壇です。次々に奈良の魅力を発信される保山さんの月イチ上映会!皆様お誘い合わせの上お越しいただき、どうぞお楽しみ下さい。
写真:松森重博理事、鉄田専務理事 文:広報部 増田優子