女性グループ(ソムリエンヌ)「糞虫観察会と糞虫館見学」
2021年10月30日(土)
さわやかな秋晴れの一日、糞虫観察会をおこないました。観察場所は飛火野の辺り。講師としてならまち糞虫館の中村圭一館長をお迎えしました。参加者は10名です。
まず春日大社参道前のバス停に集合、中村館長から奈良公園の糞虫の概要と観察方法のポイント説明を受けました。
奈良公園で見られる主な糞虫は38種類,日本に生息する糞虫160種のうち、なんと1/4が奈良公園で見られ、奈良公園は「糞虫の聖地」と呼ばれます。
観察する時は、糞を直ぐにほじくりかえさず、そっと裏返したり、糞虫が食べている様子があるかなどをじっくり観察することから始めるようにご教授いただきました。
まずは館長のデモンストレーション、その周りを皆で囲みます。
糞を丁寧に割っていくと、いました。体調5~8.5mmの小さな黒い糞虫、ナガスネエンマコガネです。この種は奈良公園ではよくみられるとのことですが、全国的にはめずらしい糞虫だそうです。
次に各自、思い思いに糞虫を探しました。参加者の目当ては「ルリセンチコガネ」、奈良公園や紀伊半島南部で見られる体長2cm弱の全国的にも珍しい瑠璃色に輝く糞虫:オオセンチコガネのルリ型です。
日当たりの良い場所では見つからなかったので場所を変え、日陰の枯れ葉が積もった場所に移動。観察を続けます。
すると参加者の一人が美しく輝くルリ色を発見、残念ながら生きた個体ではなく羽だけでした。
羽だけ残った個体が数匹見つかったので、この辺りには生きた個体がいると確信し更に探すことしばらく、ついに見つかりました。
その後、別の場所でもう一匹も発見。
2匹を並べると同じルリセンチコガネながら微妙に色が違うのが分かります。
奈良公園は条例によって動植物を持ち帰ることが禁止されているので、最後は糞虫をリリースしました。
糞虫観察会の後、時間の都合がつく参加者はならまち糞虫館を訪ねました。
少し分かりにくい場所にあり、外観は古い家ですが、中に入ればスタイリッシュ。展示の仕方もおしゃれな空間です。
その後、中村館長からモニター画像を使ってルリセンチコガネの生態などについて説明がありました。
ルリセンチコガネはフンコロガシのようには糞を転がしませんが、卵を産む場所まで自分の体重よりはるかに重い糞を引きずって運びます。
当日の朝は少し気温が低かったので糞虫の動きが鈍いかと心配しましたが、その後お天気にも恵まれ、2時間で2匹のルリセンチコガネに出会うことが出来ました。
参加者からは「楽しかった」、「これから、奈良公園では足元を気にしながら散策すると思います。あんな小さなコガネムシたちが奈良公園をキレイにしてくれてるなんて、感謝しなければ、と思いました。」などの声が寄せられ、大満足の一日でした。
女性グループ(ソムリエンヌ) 文章:清水千津子 写真:松浦文子&清水千津子