保存継承グループ 吉田寺(斑鳩町)で美化奉仕活動
保存継承グループは、11月20日(日)に社寺美化奉仕活動を斑鳩町の吉田寺(きちでんじ)で行いました。当初予定していた11月13日が雨天のため順延となったもので、当日は一時雨の予報を覆して晴れ間ものぞく天気となり、当グループから7名、ソムリエの会から5名の合計12名が参加しました。
吉田寺は通称「ぽっくり往生の寺」、略して「ぽっくり寺」と呼ばれ、平安時代(987年)に源信(恵心僧都)が開基したお寺です。本尊は、立たれたときのお身丈が一丈六尺(丈六、約4・8㍍)となる県内最大級の丈六阿弥陀如来坐像(重文)で、別名「大和のおおぼとけ」と呼ばれています。源信が母の三回忌追善で造立したとされます。境内には室町時代(1463年)創建の多宝塔(重文、高さ約12㍍)があり、塔内には源信が父の菩提追善のため造立したと伝えられる秘仏の大日如来坐像が安置されています。
参加者のうち、電車組は午前9時過ぎにJR法隆寺駅に集合し、徒歩で吉田寺に向かい、マイカー組と拝観受付所前で合流しました。10時ごろから各自、鎌やビニール袋を持って、参道、山門付近、奥の庭の3カ所に分かれて作業を始めました。
晩秋のため落ち葉が多く、お寺から竹ほうき、集めた落ち葉を入れる箕(み)をお借りしました。時たま吹く風のために落ち葉かきをしてきれいになったところにまた落ち葉が降り積もり、「キリがないなぁ」とぼやきながらも作業を続けました。庭にはあちこちに苔も生えていて、踏んで傷めないように気をつけながらの作業となりました。
1時間20分ほどで刈り取った草や集めた落ち葉で一杯となった大型ビニール袋は11個になりました。
作業終了後、多宝塔の内部に安置されている大日如来像を特別に拝観させていただきました。その後、本堂に上がり、本尊の阿弥陀如来像の前で厳かな雰囲気の中、山中眞悦(しんえつ)住職から源信と「ぽっくり往生」のいわれについての法話をお聞きしました。最後に、「南無阿弥陀仏」と10回唱える称名念仏の後、千体仏の光背をもち上品上生印を結ぶ本尊の端正なお姿を間近で拝ませていただきました。作業の疲れも忘れてしまう貴重な時間となりました。
保存継承グループが主催して実施する社寺美化奉仕活動は、NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」の社会貢献活動の一環で行っています。次回開催時も会員の皆さんに参加募集する予定ですので、関心のある方々のご参加をお待ちしています。
文・写真 保存継承グループ 本井良明