墨坂神社「秋季大祭」/保存継承グループ祭礼見学記
11月3日、宇陀市榛原の墨坂神社で秋季大祭があり、見学に行ってきました。
保存継承グループのメンバーは11時40分に榛原駅北口に集合。集まったのは4人。祭礼見学にふさわしい秋晴れだったのに、残念な参加人数でした。北方の西峠の「お旅所」に歩いて向い、15分ほどで到着。13時から神事が始まりました。
秋季大祭は毎年11月2日から4日の3日間にわたって行われます。2日は19時に本殿にて式典の後、現在の社地から旧社地とされる西峠の「お旅所」へ神様をお遷しする渡御行列が行われます。そして3日には「御旅所」から現在の社地まで神様をお還りいただく渡御行列が行われます。
若宮神を夜中の0時に本殿からお遷しし、御旅所で神遊びを楽しんでいただいたあとその日の23時59分に本殿にお還りいただく「春日若宮おん祭り」を思い起こさせられる神事です。
古事記・日本書紀には崇神天皇9年春の事として国中に疫病が蔓延した時、神人が天皇の夢の中に立ち、「赤盾八枚・赤鉾八竿をもって墨坂の神を祀り、黒盾八枚・黒鉾八竿をもって大坂の神を祀れ」とのお告げがあり、天皇はその教えに従って祀られたところ、たちどころに疫病が平癒したと伝えられています。この墨坂の神、大坂の神がそれぞれ墨坂神社、大坂山口神社であり、古代大和への東西の重要な入口として疾病の侵入などを防ぐ神々とされています。
13時半、神輿におられる神様にお還りいただく行列が、スタートします。
約1㎞の道のりを、猿田彦を先頭に武者、赤盾・赤鉾・太刀などもった還幸の時代行列が神輿とともに進みます。途中、伊勢本街道やあぶらや旅館の前を通ります。沿道の家々の方が表に出て手を合わせておられ、表まで出られないお年寄りが玄関の奥から見送っておられたのが印象的でした。
宇陀川を渡り、14時10分ごろに社地に到着です。
宮司が神輿から神様をお遷しします、決して見てはいけない、見られてはいけないということで、装束に隠し警蹕(けいひつ)の声を掛けながら本殿にお帰り頂きました。
その後、本殿での神事がおこなわれ、15時半ころから、太鼓台の宮入りです。今年は3年振りの登場です。例年は4基ですが、宮本・東町稲荷(楽)・上之町の3基が順次パフォーマンスを行いました。もう一基ある福地の太鼓台は椋下神社に宮入するそうですが今年は不参加でした。
太鼓台は立派な彫り物や欄間が施され、高価そうです。太鼓をたたく人、音頭をとる人が乗っかっています。「まぁーだまだ」の掛け声と共に、何度も何度も肩に担いでいる太鼓台に両手を伸ばし高く支え上げる力強い表現は圧巻でした。最後に宮入した上之町は八人で担ぐパフォーマンスもありました。ちなみに太鼓台は1トン半前後もあるそうです。最後に集合した3基が、一斉に担ぎあげられました。
宮司により太鼓台と参加者全員に大祓えが行われ終了です。
その後、通常は御供まき(ごくまき)とよばれる紅白の餅まきが行われるのですが、コロナのため今年は手渡しでした。熱気に満ちた祭は、16時過ぎ終了。
翌朝は健康を願い、大祭の最後に手渡しでいただいた餅を朝食にしました。
追記:各自治会から出発した太鼓台は11時半頃に榛原駅前広場に集合し、練り合わせが行われます。
文・写真 垣内博久