女性サークル(ソムリエンヌ)「聖林寺と等彌神社を訪ねて」
11月29日、ソムリエンヌの仲間7人で桜井市の聖林寺と等彌神社を訪ねました。
聖林寺の倉本ご住職の妹さんの本田さんがソムリエの会に入会され、ソムリエンヌのお仲間になりました。そのご縁で今回、聖林寺のご案内をお願いしました。
小雨の降る日でしたが、御破裂山のふもとにある聖林寺は静かな佇まいでした。
まず、本堂のご本尊、子安延命地蔵菩薩をお参りしました。このお地蔵さんは一枚の花崗岩から堀出されています。作者は但馬の石工、佐助と伝えられます。これは「大和のおはなし 大きな石のお地蔵さま」という絵本になっており、本田さんが紹介して下さいました。
本堂では、ご本尊の他、阿弥陀如来坐像(鎌倉時代)、毘沙門天像(鎌倉時代)、如来荒神像(室町時代)の像などを拝観できます。
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ご本尊の右奥には、フェノロサが考案した十一面観音像の可動式の厨子があります。現在はこの厨子には西陣織で製作された十一面観音様をお祀りしてありました。
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本堂の左手の階段を上がった所に、新しく造られた観音堂があります。二重の扉を開けて入ると、少し照明を落とした静かな空間が待っていました。
十一面観音像について本田さんの説明をお聞きしました。木心乾漆像で、天平時代の作です。760年代に東大寺の造仏所で造られ、願主は、天武天皇の孫の智努王との説が有力です。もとは大神神社の神宮寺、大御輪寺に祀られていたことは有名です。
漫画家の柴門ふみさんが「ぶつぞう入門」で観音寺の十一面観音像は黒木瞳さんに、聖林寺は天海祐希さんに似ていると書かれたそうです。そのご縁で昨年の東京国立博物館での「聖林寺 国宝十一面観音」展でのイヤホンガイドが天海祐希さんになったというお話も伺いました。
お像を囲むドイツ製のガラスは何もないかの様に透明で、手を伸ばしたら届きそうな錯覚に捕らわれました。
メンバーの着眼はさすがソムリエンヌ。観音様のおへそに注目する人、足の指の美しさに感動する人。皆さん自分なりの楽しみ方をお持ちです。
たっぷりと時間をかけて十一面観音像を堪能しました。
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次に客殿で曼茶羅の特別展を見学しました。聖林寺に所蔵されている曼茶羅13点が展示されていました。本田さんから各曼茶羅の説明をお聞きし、當麻曼陀羅に描かれている九品往生については、平越さんより9種類の阿弥陀さまの印相を教えていただきました。
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本堂を出て、カフェに向かいました。この頃になると、雨も上がり薄日が差してきました。山襞から雲が上がり、正面には雨上がりの三輪山を望むことが出来ました。
楽しいおしゃべりと柿の葉寿司のランチで、心もお腹も満足でした。
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山門を出てすぐの左手に「大界外相(たいかいげそう)」と彫られた石がありました。平越さんから、これは江戸時代の慈雲尊者(仏教を正しく理解するためには、梵語学が必要であると研究した僧侶)の揮毫で、聖林寺の学問寺としての歴史がよくわかると説明がありました。
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次に、等彌神社に場所を移しました。
宮司さんから、等彌神社のご由緒をお聞きしました。御祭神は、上社が天照大神、下社は八幡大神、春日大神です。等彌神社が鎮座する鳥見山は、神武天皇が霊畤(まつりにわ)を設けられたと伝わります。霊畤は、国で採れた新穀や産物を供え、神々を祭られた大嘗祭の初の舞台です。等彌神社がこのような歴史ある古社であることから一の鳥居は平成27年に伊勢神宮から拝受されたそうです。
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境内には作家、佐藤春夫、詩人、堀口大学の歌碑が並び文学の森を形成しています。
両側に石灯籠が並ぶ荘厳な空気の参道を歩き、拝殿に向かいました。11月20日から26日までは境内の紅葉がライトアップされ、昼間とは違った雰囲気に包まれたそうです。このライトアップと献灯祭は毎年同じ日程で開催されるそうです。来年は是非足を運びたいと思いました。
拝殿の横から、霊畤があったとされる鳥見山へ登る道があります。整備されているので、女性の登山者もみられるそうです。
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元文元年(1736)、下社の下津尾社の境内の磐余の松の枯れ株の下から掘り出された土偶のレプリカ。
今回は、正式参拝の機会を頂き、全員拝殿でお祓いをして頂きました。雅楽が流れる中、海部さんが代表で玉串奉奠を行いました。このような貴重な経験が出来て有難く思いました。
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今回も、楽しく交流を深めながら、メンバーの皆さんの博識に刺激を受けた中身の濃いツアーでした。
ソムリエンヌサークル 文章・写真 森屋美穂子