保存継承グループ 薬園八幡神社(大和郡山市)で美化奉仕活動
保存継承グループは11月17日(日)、大和郡山市の薬園(やくおん)八幡神社で美化奉仕活動を行いました。参加したのは当グループから17名、奈良まほろばソムリエの会から7名の総勢24名でした。
当日は幸い晴天となり、午前10時からの活動では少し汗ばむ陽気でした。約1時間半の作業中には、七五三で同神社にお参りで訪れた人たちもおり、美化奉仕活動に関心を寄せておられる方もいました。
薬園八幡神社のご紹介をさせていただきます。
大和郡山市材木町にある「続日本紀」に由緒の一端が記された古社で、創建は大仏鋳造の守護神として九州の宇佐神宮から八幡神が勧請された天平勝宝元年(749)。奈良に入った八幡神は平城京の南、薬草園のあった梨原(なしはら)宮に建てられた新殿に迎えられ、7日の悔過行(けかぎょう)を経て東大寺に入りました。この時に八幡神は分霊されて梨原に祭られ、翌年に現在お旅所となっている魚町に移り、さらに延徳3年(1491)に現在の材木町に鎮座したと伝わります。祭神は八幡大神(やはたのおおかみ)、比咩神(ひめがみ)です。
境内にはシャクヤク、ドクダミなど20種ほどの薬草見本園があり、神社は地元では「やくおんさん」が転じて「やこうさん」と呼ばれています。
美化奉仕の前に平田眞一宮司のご好意でお祓いを受け作業の無事を祈った後、広い境内ですので、24名をA、B、Cの3組、それぞれ7名、9名、8名に分かれました。
10時ごろから各自、鎌やごみ袋を持ち、境内の3エリアに分かれて美化奉仕を開始。作業は雑草の刈り取り、草引き、落ち葉集め,枯れ枝の処理などで、薬草見本園では、雑草と薬草の区別に注意を払いました。
雑草や落ち葉を入れたごみ袋を、木の枝とともに指定された場所に集め、心地良い汗をかきながら約1時間半の作業を終えました。終了後、幣殿前で平田宮司から美化奉仕への感謝の言葉をいただきました。
その後、2グループに分かれて幣殿内で宮司夫人の平田公子(さとこ)禰宜から薬園八幡神社の由緒や建物の説明をしていただきました。続いて平成13年(2001)指定の市文化財「唐獅子図戸襖(とぶすま)絵」や三十六歌仙の額などを拝見しました。
唐獅子図戸襖絵は狩野派の画風を学んだ地元の表具師、藤田常栄(じょうえい)の作品。戸襖は全部で8面あり、杉戸の表側全体に紙本金地着色の唐獅子図が貼り付けられています。幣殿改築後の宝暦11年(1761)に寄贈されたということです。
幣殿からは東側に隣接する県指定文化財の本殿の正面を拝見できました。本殿は一間社隅木入春日造桧皮葺で、幣殿と同じ宝暦年間に改築されたとのことでした。
神社からお祓いの時に供えられた特製の「薬園どくだみ茶」を参加者全員にいただき、正午すぎに皆さんそれぞれの達成感を抱きながら解散となりました。
保存継承グループ主催で実施する社寺などでの美化奉仕活動は、NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」の社会貢献活動の一環で実施しています。次回実施予定の2025年春ごろに会員の皆様にご案内しますので、関心のある方々のご参加をお待ちしています。
保存継承グループ 文:荒井 裕 写真:荒井 裕・久門たつお