保存継承グループ 桜井市三輪 大神神社「醸造安全祈願祭」見学記

桜井市三輪の大神神社で令和7年11月14日に行われた醸造安全祈願祭(酒まつり)を保存継承グループメンバーの4名で見学させて頂きました。酒まつりは毎年お酒の仕込みがはじまるこの時期に美味しいお酒の醸造と、酒造関係者の発展と繁盛を祈念して行われます。当日はお天気も良く、神事に参列する正装した酒造関係者のほか、見学の人々で賑わっていました。また、境内には全国から奉納されたお酒がずらりと並べられており、多くの酒造関係者から信仰を受けていることが伺えます。

全国から奉納されたお酒
奈良のお酒もずらり

定刻になり、神職が拝殿入りし、神事が始まりました。読み上げられる祝詞を、参列している関係者は神妙な面持ちで聞いています。

拝殿に入る神職

表で見学している人の中には外国人の姿もありました。イタリアとスペインから来日されたそうで、日本の伝統神事を興味深そうに見学されていました。

拝殿向拝には前日に架け替えられた真新しい「大杉玉」がかかっています。直径1.5メートル、重さは約200㎏もあるとても巨大なもので、職員の方が滑車を使って掛けるそうです。神事のあとには酒造関係者にも新しい杉玉が授与されます。

真新しい杉玉

神事の途中で、四人の巫女が三輪の神杉を手に「うま酒みわの舞」を舞います。この神楽では「この神酒(みき)は 我が神酒ならず 倭なす 大物主の 醸(か)みし神酒 幾久(いくひさ) 幾久」という歌が歌われます。これは、後ほどお参りする活日(いくひ)神社のご祭神となっている高橋活日命がおいしい神酒を醸造した際に、大物主のご神徳を讃えて天皇に捧げた歌といわれています。

「うま酒みわの舞」を舞う巫女

拝殿での神事ののち、摂社の活日神社に参拝します。境内にぎっしりと関係者が参列します。

活日神社
関係者で埋まった活日神社前

活日神社のご祭神は高橋活日命です。第十代崇神天皇の御代に疫病が流行したおりに、天皇の夢に大物主のお告げがあり、三輪山の祭祀を行いました。勅命によって高橋邑(たかはしむら)の活日命が祭での御酒を司る掌酒(さかひと)となり、大物主大神に供える神酒を醸したことが日本書紀に記されており、高橋活日命は杜氏(とうじ)の祖神とされています。また、一夜にしておいしい酒を造ったといわれ、活日神社は「一夜酒社」(ひとよざけのやしろ)とも呼ばれたそうです。ここで始まった酒造りは各地に広まり、古代の歌にも三輪にかかる枕言葉は「うまさけ」と詠まれて称えられています。こうしたことから大神神社は酒造守護の神様を祀る神社として崇敬をうけ、今も全国の酒造関係者が参拝しています。

有名どころの樽も

前回(2017年)見学の際にあったお酒の振る舞いは、残念ながらコロナ禍以降行われていないそうです。この冬もおいしい新酒が醸されることを楽しみに、三輪そうめんのにゅうめんで胃袋を満たして一息ついてから、大神神社を後にしました。

保存継承グループ 文:横山真紀子 写真:小西和子、斎藤哲夫、本井良明、横山真紀子