「栄山寺・五條の街並みを訪ねて」感想記

6/28(土)実施・・・参加者15名

史跡等探訪サークル主催の五條のウォーキングは、雨に降られず、曇り空のなかでの実施となりました。
コースは、
宇智川の磨崖碑~栄山寺~金剛寺~桜井寺~五條新町~民俗資料館(天誅組ボランティア解説あり)~まちなみ伝承館~五新鉄道跡~西方寺~二見の大ムク~JR大和二見駅
6/28(土)9時過ぎにJR五条駅に集合。途中の北宇智駅では2007年まで使用されていたスイッチバックのホームを車窓から見ることが出来ました。
何故「五條」ではなく「五条」駅と表記するんだろう?と話しながら駅を降りました。

ウォーキング前のストレッチ

今日の資料の配布を受け、駅前広場でストレッチ体操をしてから出発です。朝の天気予報はあまり良くなかったけれど、曇り空のまま何とかもちこたえてくれそうでした。

宇智川の磨崖碑

駅から1.3キロほど歩いたところで、道路からはずれ狭くぬかるんだ階段を下って行くとそこは宇智川。どこかの渓谷に来たかのような別世界が広がっていました。向こう岸の大きい岩に8行の大般涅槃経と観音像が刻まれているらしいのですが、肉眼で確認するのは困難でした。するとその時、飛び石を次々と伝い歩き見事対岸にたどりつかれた方が!小林淳一さん、磨崖碑は確認出来ましたか?
美しい吉野川の景色に見とれながら歩いて行くとやがて藤原武智麻呂創建の栄山寺に到着です。

栄山寺の小野道風の書という国宝梵鐘

平安三絶の一つという立派な梵鐘を間近で見学。その後、石造七重塔、大日堂や本堂を拝観しました。本堂のご本尊薬師如来像は残念ながら公開されていませんでしたが、前に一列に並ぶ十二神将像は小さいながらも切金文様を用いた立派な像でした。境内は紫陽花や睡蓮が見頃。池には珍しい黒メダカがいるそうです。

八角円堂前での参加メンバー

国宝の天平時代の八角円堂。屋根上の石製宝珠が八角円堂の建築の難しさを物語っていることや、上側の角垂木・下側の丸垂木の連なりの美しさなどを加藤さんに解説していただきました。普段非公開の内部に特別に入らせていただくと内陣は4本の八角柱に囲まれた四角形になっており、今は剥落が激しいですが天蓋や柱、頭貫には装飾画が描かれていました。
栄山寺を出た後は、しばらく近畿自然歩道をウォーキングです。時折青空ものぞき、暑さが増してきました。

茅葺の庫裡内で昼食した金剛寺

やがて金剛寺に到着。関西花の寺二十三番霊場であり近世には唐招提寺長老の隠居寺であったことでも知られます。観音堂の鴟尾は唐招提寺のものを模しているのだとか。本堂でお寺の方に解説をいただいた後、ご本尊の平安時代の薬師如来像を拝観。その他数々の寺宝を見せていただきました。その後は茅葺きの庫裡を使わせていただきお昼に。いつもの野外の昼食とは一味違うランチタイムとなり、ゆっくりくつろぐことが出来ました。今度は秋の「菊薬師会式」の時に訪れてみたいものです。
午後。吉野川沿いの遊歩道を歩き大川橋を渡ると五條の市街地です。本陣交差点を渡ると桜井寺。

天誅組の本陣跡の石碑

文久3年(1863)8月17日、天誅組が五條代官所を襲撃した後、本陣を置き「五條御政府」を称したのがこの地でした。境内には「五條代官(鈴木源内)天誅組首洗いの石手水鉢」も残っています。現在の本堂は新しいもので、旧本堂は遠く箱根に移築されているのだそうです。

栗山邸が工事されていました?

国道沿いに大変大きく古い屋根が現れます。これが年代の明らかな現存民家としては我が国最古の栗山家住宅(慶長12年=1607)。奈良検定のテキストで読んだだけの知識をこうして現場で確認出来るのは大変楽しいことですね。

「餅商一ツ橋」さんのレトロな看板

旧紀州街道で重要伝統的建造物群保存地区に指定されている「五條新町」に入り、江戸時代の町並み散策を楽しみました。中でも「餅商一ツ橋」さんのレトロな看板が目を引きます。何人かの方がお餅を買いに行かれていました。私も分けていただきましたが甘さ控えめの素朴な味わい。人気店で午前中で売り切れてしまうこともしばしばなのだそうです。
その後、「まちなみ伝承館」に立ち寄りしばらく見学・休憩し、五條市立民族資料館(旧五條代官所長屋門)に向かいます。ここで天誅組についてボランティアの方に詳細に解説していただきました。
新町通りに戻って歩き続けると・・通りをまたぐようにアーチがかかっています。

五新鉄道の橋脚の遺構

これが建設途中で計画が中止になり幻となった「五新鉄道」の高架橋跡。鉄道の話題といえばこの方!小林誠一さんに詳しく解説していただきました。バス専用道路として使用されている区間もあるようで、いつか是非乗ってみたいと思いました。河瀬直美監督の映画『萌の朱雀』はこの五新鉄道が物語の背景に登場し、尾野真千子さんのデビュー作でもあるそうです。

五條二見のムクの大木~さすがに大きい 現地でないとわかりません。

新町通りの西側、二見にある住宅に大きなムクの木。国指定の天然記念物であり、台風被害で上部を失いましたが指定当時は高さ30メートルもあったそうです。大きいな〜と見上げていると、顔に雨粒が・・・とうとう降り出しました。ゴールの大和二見駅はすぐ近くでしたので「活動がほぼ終わる頃まで天気がもってくれて良かったなぁ」と思ったのですが、小林俊夫リーダーは「雨男のジンクスが守られた!」と別の意味で喜んでおられました!?
私にとっては初めての地で「五條に行ったらここに行ってみたい」と思うスポットがほとんど盛り込まれたとても楽しいコースでした。今回は15名、特に女性は2名と少人数の活動となりましたが参加された皆さん、おつかれさまでした。

文:歴史探訪G 史跡等探訪サークル 藤原麻子  写真:同 小林俊夫