記紀万葉サークル12月例会「知られざる斑鳩」

参加者19名

風の強い寒い師走の13日、JR王寺駅に全員が時間通りに集合した。今日の案内役は小林淳一さん。
まずは駅の北側に出て、大和川に架かる昭和橋の袂で橋の謂れ、三郷・王寺・斑鳩の町境、今は無き“舟戸の渡し”の説明を聞く。
橋を渡って斑鳩町内に入り、神岳(かむおか)神社が鎮座する三室山へ向かう。春は桜、秋は紅葉の楽しめる憩いの場所だが、今の時季は、人影もまばらで散らずに残った紅葉が美しく映える。能因法師の供養塔と伝わる石塔前での説明を聞き、坂を下って融念寺に着く。

三室山を下りる

恵宝殿におわす、エキゾティックな風貌の衣をつまむ珍しい地藏菩薩像は、一度は拝観したい像だ。住職の仏教美術談義を交えての詳しいお話しは、ただただ感心するのみで、仏様と向き合うときは、目線を合わすことが大切だとも教えて頂く。
久しぶりにこの辺りを歩くと、新しい住宅が増えバイパスが開通したりして、徐々に変貌してゆく西大和の景観に少しがっかりもした。
そんな中、白山神社の境内で、小学生との触れ合いを求めて、毎年この時期に芋を焼く地元の高齢者の方々に出会い、火の暖かさと心のぬくもりを感じた。

竜田川を渡る

一行は、ぽっくり往生で有名な吉田寺を参拝したが、うす暗い本堂の丈六の阿弥陀像は、輝かしい光を放ち、整然と置かれた沢山の木魚も印象的だった。国道を横切って旧龍田宿の外れの龍田神社に参拝後、役場前の在原業平の“姿見の井戸”では逸話を聞き、斑鳩文化財センターに着く。暖をとりながら藤ノ木古墳発掘のビデオ視聴とガイドの方から説明を受け、古墳では集合写真を撮る。

藤ノ木古墳にて

その後、風情ある土塀が残る西里の安田邸の春日古墳を左に眺め、法隆寺西門からウォーナー塔を通り山道へ入る。温泉地の共同浴場は、よく耳にするが、かつて西里集落の方々の入浴施設であったという空風呂廃屋の紹介には驚いた。なおも行くと突然、視界が開け、仏塚古墳が田圃の向こうに見える。ご厚志で入った古墳の石室内は、想像以上に広く感じた。

仏塚古墳の開口部

また古墳の東側に墓石の群立する大きな墓地の中に、今日の参加者が入る予定の墓もあると聞き、再度驚いた。
この後、初めて訪れた皇女の方々を葬った中宮寺宮墓地をお参りした後、最終地点の法隆寺南大門には、少し遅れて到着した。

静謐の中宮寺墓地

休憩中は、緊張のせいか絶えず煙草を吸っておられた小林さん!多くを紹介しようと二回も下見をされたと聞き、頭が下がりました。師走の慌ただしいなか、無事全員が完歩できました。本当にお疲れ様でした。皆様方、よき新年をお迎えください。

文:日置雅夫(記紀万葉サークル) 写真:田中昌弘(同)