保存継承グループ 長弓寺(生駒市)で美化奉仕活動

木々の紅葉が進む11月15日(土)に生駒市上町の長弓寺で恒例の美化奉仕活動を実施しました。保存継承グループから15名、ソムリエの会から4名の計19名が参加。当日は天候にも恵まれ、終始心地よい小春日和の陽気の中での作業となりました。

生駒市の古刹・長弓寺の本堂(国宝)

よく知られている長弓寺ですが、少し紹介をさせていただきます。奈良時代の創建と伝わる古刹で、寺号は聖武天皇の狩りのお供をしていて落命した、この地の豪族の小野真弓長弓(おののまゆみたけゆみ)の菩提を弔ったことに由来するとされています。
桓武天皇の時代に伽藍が整備され、弘法大師もこの地を訪れたと伝わります。しかし、平安時代末期の火災で堂宇は焼失。現本堂は鎌倉時代の1279(弘安2)年に建立されたもので、寄棟造り、檜皮葺の生駒市では唯一の国宝建造物です。本尊は黒漆厨子に収められた平安時代の作とされる十一面観音立像で、厨子と仏像は共に重要文化財に指定されています。

本堂前で作業内容説明の様子

参加者は近鉄けいはんな線学研北生駒駅前に集合した徒歩組と、マイカーでの直行組が10時前に本堂前に集合。最初に2022年の保存継承グループ加入以来、美化奉仕活動にはほぼ毎回、お住まいの名古屋市から参加された茶谷慶一さん(享年74歳)が7月に亡くなられたとの報告があり、参加者で黙祷を捧げました。
作業手順の説明後、本堂裏手の斜面一帯で草刈り作業をするグループと、本堂周辺のサクラなどの落ち葉を掃き集めるグループに分かれて作業をすることに。

本堂裏手の斜面で雑草を刈り取るメンバー
本堂裏手には背の高い雑草も

本堂裏側は夏から秋にかけて高さ10㎝ほどの草から、2m前後の大きなものまでさまざまな雑草が生い茂り、なかなか手ごわそうだぞ、という表情のメンバーも。持参した軍手をはめ保存継承グループが用意した鎌とビニール袋を手に、やりがい十分の作業に熱がこもりました。

本堂周辺では落ち葉掃除

一方、落ち葉担当のメンバーは本堂近辺や、駐車場近くの蓮池横から本堂に向かう坂道に植えられたサクラなどの落ち葉をお寺からお借りしたほうきと箕(み)で丁寧に集め、ビニール袋へ。お寺からは雑草や落ち葉は本堂裏手の斜面奥に積み重ねてほしいとの要望に沿ってビニール袋にいっぱいになった雑草などを移動しました。

除草作業終了後の本堂裏手

休憩をはさんで、本堂裏手から見える範囲の雑草はほぼ刈り終えたところで1時間半ほどの作業を終えました。作業開始時には雑草が目立っていた斜面はすっかりきれいになり、本堂前などの落ち葉もほぼ一掃されてきれいになりました。作業終了後、長弓寺塔頭の円生院住職で、今年度は長弓寺住職も務めておられる池尾宥亮さんから感謝の言葉をいただきました。

国宝の本堂前で説明される池尾住職

その後、池尾住職から本堂前で本堂の作りなどの説明をお聞きしました。
本堂の工事を行う場合、事業費は国・県などからの補助金があるものの寺負担分も高額となり、その調達の大変さについて興味深く耳を傾けました。
次いで特別に本堂内を拝観させていただきました。中は蛍光灯などの照明は無く、お堂の正面から射し込む自然光と燈明のみでした。池尾住職によると、これは参拝者が電灯の無かった建立時と同じ光景で仏様を拝むことができるようにという心遣いだそうです。
本堂が建てられた鎌倉時代や、それ以降と同じ空間で十一面観音立像などを間近に拝観しているのかと思うとそこはかとない感動を覚えました。

正午過ぎに本堂前で全員で記念撮影、この日のスケジュールを終え解散となりました。

記念撮影。池尾住職(前列中央)にも入っていただいた

保存継承グループ主催で実施している社寺などでの美化奉仕活動は、NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」の社会貢献活動の一環として実施しています。次回開催時も会員の皆様に参加募集をしますので、関心のある方々のご参加をお待ちしています。

保存継承グループ  文:森井健太  写真:仲秀和、森井健太