交流部会「女たちの守る寺」
11月5日 交流部会奈良再発見サークルの主催で、講演会があった。
このサークルではこれから「女たちが守る寺」と題して寺巡りのシリーズを始める。
奈良では法華寺、中宮寺や円照寺が尼寺として知られているが、これら以外にも尼寺や女性の僧が寺をも守っているところがたくさんある。
今回これ等の寺をめぐるにあたって、エッセイストで手塚山短期大学講師の中田紀子氏を招いて事前の予習をしようという講演会である。
中田氏は以前このテーマで朝日新聞に連載されていたので周知の方も多いと思う。
講演会は近鉄西大寺駅前の三和ビルで行われ、今にも雨が降りそうな中40名近くの参加者で賑わった。
会場入り口の受付で、女性役員に笑顔で迎えられ500円の資料代を払う。
講演のテーマに反して男性の聴講者が目立った
10時30分 開講
最初のテーマは、「取材した寺々のエピソード」として中田氏がこれまで取材した20余りの寺でのエピソードを紹介された。
普通の女性が尼僧になるには大変な苦労があり、想像の域を超えるらしい。
次いで、「中将姫伝説とゆかりの寺」では中将姫伝説の解説、中将姫の家系図などが話された。
中将姫伝説の話はいくつもあり、江戸時代に編纂された「本朝烈女伝」が今日伝わったものとしては有名である。
「中将姫ゆかりの寺」
奈良まちにある誕生寺には浄土曼荼羅と中将姫座像があり毎年4月に開帳される。またこの寺には中将姫、父の豊成、母の紫の前の御殿があり三棟殿と称されている。、高林寺にも大変美しい中将姫座像と豊成卿の坐像がある。
徳融寺の境内には中将姫・豊成の宝篋印塔がある
青蓮寺は宇陀市にあり日張山中腹の閑静な佇まいで、開山堂には中将姫座像が祀られている。
当麻寺にある蓮糸曼荼羅は実際は絹の綴織である。ここには中将姫29歳像がある。
「中将姫を取り上げた作品」として、御伽草子、能、浄瑠璃、歌舞伎などで中将雲雀山などが紹介されているが、物語に共通するものは神秘性の拡張や猟奇性の協調である。また折口信夫の「死者の書」についても触れられた。
最後に「日本仏教の幕開けと尼僧たち」では蘇我馬子が仏殿を作り3人の尼僧たちにより仏教を広めた話を詳しく説明され、仏教興隆に女性が深くかかわったことを強調された。
なお再発見サークルでは、11月15日に「女たちが守る寺」シリーズの第1弾として、「奈良まちの璉城寺と中将姫ゆかりの寺をたずねて」を実施される。多くの方々に参加していただきたい。
奈良まほろばソムリエ友の会 小北博孝