「記紀万葉サークル」12月1日例会
集合の時から寒く時雨模様で、少し残念なコンディションでしたが昼前からは薄日も差すまでに回復しました。吉野山の紅葉は最終段階で、小雨に濡れた木々や落葉に彩られた歩道には吉野ならではの風情が有りました。
今回の目的は蔵王堂などの文化財が良く知られた前半のコースよりも、後半の象(きさ)の小川・万葉の道・吉野の宮跡を体験するところにありました。当日の案内はメンバーの富田良一さんでしたが、当地でのガイド経験もあり解説もペース配分も申し分ありませんでした。吉野山がそして吉野川が古代から「特別な場所」であったということを実感しました。
(以下、参加メンバーの鈴木和子さんから寄せられた体験記「記紀・万葉に見る吉野を体験する、に参加して」から引用させて頂きました)。
私は特に大己貴命(おおなむちのみこと)、少彦名(すくなひこな)、および天武天皇を合祀している桜木神社の屋形橋の上から見る「象の小川」の流れが吉野の景観の中で一番のお気に入りです。私にとってはパワースポットのひとつです。「象の小川」は、吉野水分神社付近を水源とした川で、奈良時代に大伴旅人が、
「昔見し 象の小川を 今見れば いよよさやけく なりにけるかも」(巻3-316)
と詠っています。万葉の時代に旅人がどんなに癒されたであろう思うと今もその面影が偲ばれます。清らかな小川のせせらぎを耳にしながら、その澄んだ流れに心が洗われる心地になります。
その流れに沿って行くと川は宮滝辺りで吉野川にそそぎ込みます。激(たぎ)つ河となつた「夢のわだ」あたりの光景は、見る者の魂を揺さぶり元気を与えてくれるようです。
朝のうちは時雨模様の天候でしたが色とりどりの紅葉が楽しめ、またサークルのメンバー達と「万葉の道」を歩いて過ごした1日は大変印象に残りました。
(構成・写真:記紀万葉サークル 田中昌弘)