第1回「奈良の食」勉強会 実施報告

平成25年4月24日(水)啓発グループの第一回目の事業となる自主勉強会(「奈良の食」勉強会)を開催しました。(開催場所:南都銀行 西大寺銀行クラブ)
 講師は現在平群町在住の「山根清孝」さんで、食品会社で長らく食品の開発・製造・販売に携わってこられた。退職後「食品開発コンサルタント」として、奈良県の「農林部・農政課の農政アドバイザー」として長く活躍されるとともに、NPO法人「奈良の食文化研究会」の会員として、奈良の食文化を深く研究されてこられた方です。

講師「山根清孝」さん

 第一回目は「大和に日本の食のルーツを訪ねる」と題して、奈良の食文化の全般にわたるお話でした。まず、「古墳時代から平安中期頃」、「平安中期以降」、「江戸中頃から現代」に分けて奈良の食にまつわる話があった。日本の食文化は、仏教伝来により明治5年まで「殺生肉食」を禁止してきたことに特色があること。奈良は古代にはいろんな食材が入ってきており、ルーツとなったものも多いとのことでした。
 次に地域別の特性ということで「奈良盆地(國中)」、「葛城山麓」、「大和高原」の地域的特性について話があった。奈良盆地では明治27年~大正13年、昭和5年~9年までは、米の反当り収穫量は、日本一であった。また、雨が少ないことからため池も多く、そこで育てられた「コイ」、「フナ」、「どじょう」、「タニシ」もよく食べられていた。明治以降、「大和すいか」もたくさん作られていたが、現在は最盛期の10分の1程度で、種取り用として栽培され、全国のすいかの種の8割が奈良県産ということである。
 また、奈良市の一人当たりの牛乳の消費量が日本一であること、奈良県のコーヒー消費量は日本一との説明があった。
 次に各テーマからの切り口として大和の「社寺行事の特別な行事食」、「郷土料理」、「伝統食品」という観点から話があり、各論として「茶がゆ」と「お茶」に関する話があった。
 郷土料理の「飛鳥鍋」については、各飲食店がタイアップして売り出したらよいとの意見をおっしゃっていた。奈良発祥のお菓子として「フライビーンズ」の紹介があり、むかし奈良の特産品であったそら豆を油で揚げたものである。
 最後の質疑応答もなかなか盛り上がりをみせ、奈良県内で見られる正月の雑煮の餅を取り出して、きな粉をつけて食べるという習慣については、参加者の意見交換によれば、奈良県内一円で見られるとのことでした。(県外からの転入者、県外在住者からは意外という感じの感想でしたね。)
 講師の山根さんは、奈良はいろんな食品のルーツとなったものが多く、調べれば調べると面白いと言っておられました。
 次回からは、いよいよいろんな郷土料理などに関して、各論として詳しく説明がある予定で楽しみです。

啓発グループ 大山 恵功 記