記紀万葉サークル11月例会「『日本庭園美』の原点を眺める」
11月12日(土)参加者 9名
尼ヶ辻駅西口から横手に宝来山古墳(垂仁天皇菅原伏見東陵)を眺めつつ西へ、そしてすぐ北へ折れると菅原寺(喜光寺)・菅原天満宮は間近でした。垂仁陵の治定については、奈良時代において何らかの錯誤があったと思うのですが、この距離感を実感すると、土師宿禰たちが遠祖野見宿禰と垂仁天皇の関係を言い立てて、この巨大古墳を天皇陵と認めさせた経緯が素直に想定されるのです。
復元大極殿・大伴門から東院庭園に向う。2棟だけが威容を誇る光景も異様ですが、上屋部分はどうしても推定による部分が多いと聞きますので、一見立派ではあっても実物大模型の感が免れません。
今回のテーマ「日本庭園美の原点」を東院庭園と左京三条二坊宮跡庭園に見た訳ですが、少し趣を異にしているようです。東院庭園には、洲浜に汀線を描く斬新な構想を自分達の風景として囲い込み、自分達を中心に置いて悦に入っているようなところがあると思いました。
左京三条二坊宮跡庭園ですが、観賞主体(復元建物)を西南の隅に退け、中央の延長55mの曲がりくねった池が主人公です。低い板塀は巡っていたようですが、観賞に際して東方の御蓋山をはじめとする春日連山や、東大寺・興福寺などの堂塔が背景として入ることを妨げていません。むしろそれを考慮に入れていたのではないかと思われます。観賞する態度において、かなりの差が有るように思われました。
今回は最高の天気に恵まれたうえ、少人数で引率の伊藤さんのペースもあり、快調に行程を消化してゆきました。新大宮駅での解散は予定より30分程早くなりました。
文:田中昌弘(記紀万葉サークル) 写真:錦織智恵(同)