天理市:石上神宮「でんでん祭り」見学記

「でんでん祭り」の愛称で親しまれ、五穀豊穣を願う「神剣渡御祭(しんけんとぎょさい)」が平成30年6月30日(土)、天理市の石上神宮で行われました。神剣渡御祭は当神宮より境外末社の神田(こうだ)神社に御神剣を捧持して渡御する祭りで、渡御の行列が太鼓を「デンデン」と打ち鳴らしながら進むので、「でんでん祭り」とも呼ばれています。
流れを追い記載します。

石上神宮の境内6/30:茅の輪の準備完了

13:00 国宝の拝殿で神事が開始されました。(私たちは早い目に拝殿前に集まっていましたので、運よく拝殿の中に入って目の前で神事を拝観できました。ただし殿内の写真撮影は禁止。)

拝殿(国宝)で神事が開始

13:10 宮司が御簾をあげ献饌に始まり、祝詞奏上、玉串奉納、撤饌と厳かに神事が進みました。(撮影不可につき写真はありません)
13:45 神剣渡御行列開始。御神剣と共に宮司・祭員・花鉾・早乙女・作男など約40名が神田神社に進みました。

神剣渡御行列の様子:太鼓をデンデンと叩きながら歩く

14:00 神田神社で祭礼開始。斎田お払いに続き、祠が開扉され献饌に始まり祝詞奏上、玉串奉納、撤饌と厳かに神事が進みました。

神田神社での神事

14:35 斎田ではお田植神事の開始。砂を田に見立てた縦5m、横3mの四角い枠の中で、作男が①クワ入れ②田おこし(牛との協働)③畔築き④大豆植え(穴あけと豆まき)⑤上に灰を振りかける⑥土ならし(牛との協働)⑦早苗播き⑧早乙女3名によるお田植神事が、時にはユーモラスにかつ厳粛に執り行われました。

お田植神事で使用する道具
クワ入れの様子
田男と牛のユーモラスな掛け合いで田おこしが進む
3人の早乙女による田植の様子:地面の砂が熱そうでした

15:00 宮司の挨拶があり、無事終了しました。なお、斎田の早苗は疫病を払うとされ、多くの参拝者が持ち帰りました。

頂いた神事に用いた苗:1本だけ元気です。

今年のお田植神事は宮司によると、3年ぶりに屋外で開催されたそうで、梅雨の最中の晴れ間で気温は34度にもなり、当事者のご苦労は大変であったと思います。
大和のお田植神事の最後を飾る石上神宮の「でんでん祭り」を末永く継続していって頂きたいと、切にお祈りしています。

(写真・文   保存継承グループ・亀田幸英・中西環)