空海と密教美術展

「空海と密教美術展」が東京国立博物館で9月25日(日)まで開催されている。

 NHKでも特番が組まれたりしていたのでご存知の方も多いのではないか。キャッチコピーは「国宝・重文率98.9%」であるが、99品中唯一の未指定展示品「伝空海所持 金念珠」の展示期間は7月30日までのため、それ以降は「国宝・重文率100%」なのだ。
 この中で奈良からの出品は西大寺の国宝十二天図像のみである。会期を3期に分けて2幅ずつが展示される。梵天像・地天像(~8/7)/帝釈天像[東博ページに図あり]・火天像(8/9~8/28)/羅刹天像・水天像(8/30~)である。
 水天と言えば『古寺巡礼』に出てくる和辻哲郎が体験した奈良博物館での夢のような古画の特別展覧が思い出される。法華寺弥陀三尊、薬師寺吉祥天、信貴山縁起といっしょに「西大寺の十二天、さよう、一幅でいいとなるとまず水天ですかな、まあそうでしょうな」と言って玄関脇の応接室へ持って来させて観たのである。この4点のうち私が実物を観たことがないのは水天だけなので、ぜひ8月30日以降にもう一度観に行こうと思っている。
 その他の奈良関連としては、特集陳列として明日(8月28日)までだが、よみがえるヤマトの王墓―東大寺山古墳と謎の鉄刀―が展示されている。
 天理市の東大寺山古墳出土の重要文化財 金象嵌銘花形飾環頭大刀 古墳時代・4世紀(刀身:中国製・2世紀)を始めとする出土品のほとんどが展示され見ごたえがある。

by 佐吉多万比古