女性サークル:紫翠ラグジュアリーコレクションホテルでの食事会と見学会(2026.7.11)

いつになくドレスアップした女性サークルの会員たちが、近鉄奈良駅前でわくわく、そわそわ。 「ガイドをしながら横目で見ていた」 「一度入ってみたかった」 そんな会話が聞こえてきます。旧奈良県知事公舎を再生した「紫翠ラグジュアリーコレクションホテル」を訪問するということで、この日は新人さん5人も含め、女性サークル総勢23人が集まりました。
ホテル側の特別なご配慮で、メインダイニング「翠葉(すいよう)」を貸し切りにして特別ランチコースをいただき、そのあと館内をご案内いただくという楽しみな企画です。
「紫翠」という名前は、「紫幹翠葉(しかんすいよう)」―山々がみずみずしく青々と美しい様子を表す言葉から取られたそうです。奈良の情景・伝統と現代の結びつきをテーマに、ここでしか出会えない「時の流れ」を味わっていただくことをコンセプトにされているとのことでした。

知事公舎を改装した紫翠の入口

知事公舎の客間を修復・再生したメインダイニングにご案内いただき、緑のきれいなお庭を眺められる席についただけで、胸の高鳴りが深まります。目の前に置かれているお皿は、西陣織の帯をガラスコーティングしたという特別な逸品。お料理が出る前から溜息が聞こえてきます。

西陣織が美しいお皿

お料理は奈良の食材にこだわり、料理長がこの日のために特別に考案されたコースです。
先付けに出されたのは「大和茶の茶粥とぬなわ」。小鉢の蓋を開けた瞬間、ふわっとお茶の香りが漂い、「こんな茶粥は生まれて初めて!」とあちこちのテーブルで感動の声が上がりました。「ぬなわ」とはジュンサイのこと。夏の季語にもなっており、季節の移ろいを感じさせる一品です。
次は「明日香きくらげの真蒸」。どのお料理にも奈良県への愛が溢れています。

大和茶の茶粥とぬなわ

お造りは「古代ひしおと待ちわびた鯛」。変わった名前のお料理だと思ったら、『万葉集(巻16-3829)』の歌「醤酢(ひしおす)に 蒜(ひる)つき合てて鯛願ふ われにな見えそ水葱(なぎ)の羹(あつもの)」にちなんだ一品なのだそう。 味噌のようでもあり醤油のようでもある「ひしお」のなんと美味しいこと!“待ちわびた鯛”というより、“待ちわびたひしお”になってしまうほどでした。

待ちわびた‘’ひしお‘’はお造りの右側に置かれています

この後は「大和抹茶塩と甘鯛の変わり揚げ」。ここでは待ちわびた鯛がお野菜の下にいらっしゃいました。香りのよい抹茶塩との相性も抜群です。
煮物は「牛頬肉やわらか煮と冬瓜、大和当帰のマスタード添え」。とろけるような頬肉と、辛すぎず優しいお味の大和当帰マスタードの風味にうっとり。続いて、ご飯と椀物、奈良漬が運ばれてきました。
甘味は「鎌足の袖」をイメージした和菓子。藤原の藤の花の色の袖から、白あんがそっと覗いています。藤の花びらの模様もとても優雅。
目で楽しんで、香りで楽しんで、舌で楽しむ。そして、奈良の魅力を全身で感じられるお料理でした。

「鎌足の袖」をイメージした和菓子

お食事のあとは、素敵な館内を6名ほどのグループに分かれてご案内いただきました。

玄関を入ってすぐにある板戸

昭和天皇がサンフランシスコ平和条約の批准書に署名されたお部屋には、当時の調度品がそのまま保存されており、歴史の重みが静かに漂っています。

昭和天皇が署名されたお部屋

吉城園を借景とする建物へも、紫翠から入ることができます。ここは様々な用途に利用できるそうですが、もちろんここでお食事も可能とのこと。若草山の山焼きの日は“特別席”となり、上がる花火がそれはきれいなのだとか。2組限定で予約可能だそうですが、ずっと先まで予約が埋まっていそうで少し残念です。

吉城園のお庭が綺麗に見えます
欄間が見事な絵柄になっています

宿泊棟も見学させていただきました。お庭に面したお部屋は落ち着いた佇まい。最近は迷い鹿が現れることもあるそうで、庭の木々をむしゃむしゃ食べてしまうため、ホテルとしては困ったお客様のようです。客室温泉付きでゆったりした時間を過ごせそうで、奈良県民の私たちでも泊まりたくなってしまいます。

お部屋の様子。お庭を眺めながらお風呂に浸かれます

別棟の茶寮「世世(ぜぜ)」は、旧興福寺世尊院の建物を改修した空間です。キュッキュッと鳴る「鶯張り」の板敷きがあえてそのまま残されており、古い奈良の風情を感じさせます。17時までは一般の方も喫茶として利用できますが、17時以降は宿泊者専用のドリンクサービスの場となります。
お部屋の温泉でゆったり寛ぎ、夕食前にここでシャンパンを味わい、それから奈良を感じるコース料理に舌鼓を打つ――実に優雅な時間の過ごし方ですね。
奈良へのこだわりと温かいホスピタリティに包まれ、まるで宿泊したかのような満足感に満たされながら、私たちの贅沢な午後のひとときは解散となりました。

世世の入口
集合写真

文・新島弓美子 / 写真・新島弓美子、本田倫子